猫が匂いを嗅いだ後、「くさー…」とばかりに口を半開きにしているのを見たことがあるでしょうか。
人間のくつ下などのくさいもの嗅いだ後の面白い反応として、よくテレビなどで取り上げられたりします。
しかしこれは、イヤな匂いと思ったり、クサすぎてあきれ顔になっているわけではありません。
嗅覚に優れた猫にとって、口を開く理由がちゃんとあるのです。
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なぜ口が半開きになる?
口の中に嗅覚器官がある
猫は嗅覚を嗅ぎとる際に、鼻だけではなく口の中にある器官でも匂いを感じることができます。
これは鋤鼻器(ヤコブソン器官)と呼ばれる、一部の動物が持っている鼻とは別の嗅覚器官で、動物によって備わっている場所が違います。
猫の場合は、口内の上あご(前歯の裏側のほう)にあり、鼻と同じく2つの穴があります。
鼻との役割の違い
動物は匂いによって様々な情報を得ています。
・食べ物や飲み物が危険でないか
・獲物や外敵など他の動物の存在
・異性のフェロモンの匂い
など
鼻では特に、危険から身の安全を守るために働くことが多いですが、ヤコブソン器官では主にフェロモンの匂いをキャッチするために特化しています。
フレーメン反応
空気中にあるフェロモンを感じ取り、その匂いをヤコブソン器官により多く取り入れようとするために、口を開く行動をフレーメン反応(ドイツ語:Flehmen)と言います。
フレーメン反応は思わず起こってしまう動物としての生理現象であり、猫以外にも様々な動物で見られる反応です。
異性のフェロモンを嗅ぎ分けて分析するこの行動は、特にオスによく見られます。
縄張りとしてマーキングする際のおしっこの匂いと、発情期の体臭として発している匂いでは、同じフェロモンでも意味が異なります。
猫にとって匂いは色々な情報源となります。
猫以外の動物にも起こる
同じネコ科であるライオンやトラにもフレーメン反応は起こります。
しかし猫とは違って、さすが迫力のあるしぐさです。
馬のフレーメン反応は、口を閉じたまま上唇を捲くりあげるので、笑っているように見えることで有名です。
ヒツジやバクなどのフレーメンも、同じく笑っているように見えます。
他にも、ウシ、ゾウなどの哺乳類を中心によく見られ、コウモリなどにもフレーメン反応が起こるようです。
人間は、胎児期にヤコブソン器官がある鋤鼻器が退化してしまうため、フレーメン反応は起こらなくなります。
これは、異性に対して言語や他のコミュニケーションによる方法を用いるため、進化の過程で不要な器官として排除されたのかもしれません。
以上です。

ブレーメン(の音楽隊)もドイツ語。全然関係ないけど
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